ケーキも大福も好物という大の甘党の私の、もうン十年も前の愚かな失敗談を一つ。
ある古武道の稽古に通っていた、まだまだ若輩の頃の話です。元来、いくら食べても太れない体質の私。道場に集う先輩たちの鍛えられた肉体を前に、自分ももう少し体重をふやせたなら、と考えていました。
すると、ある大先輩が自信満々にこんなアドバイスをくれたのです。
「太るのなんて簡単だよ。夕食の後に毎日ケーキを2個食べれば、絶対に体重は増えるよ」
そのあまりに単純明快すぎる論拠に、つい頷いてしまった単細胞な私。それはいいことを聞いたとばかり、早速その日から、晩ご飯をすませてさらにケーキを2個、という食習慣がはじまりました。
最初は、楽勝ムードのスタート。何といってもケーキは好物ですし、近所にホームメイドの美味しいケーキ屋さんもありました。
・・・しかし。
1週間、2週間と過ぎても、なぜか体重はいっこうに増える気配を見せてくれません。体重計に乗っては首をひねる日々。連日の食後のケーキにもさすがに飽きがきていました。が、そこは若さゆえ、意地っ張りの虫が顔をのぞかせていたのでしょう。目指す体重増加を達成するまでは続けるぞ、と妙にがんばってしまったのです。
そして、2ヶ月後。
変調は突然、やってきました。どうしようもなく胃袋がムカムカして、食欲がまったく湧きません。そう、自分の身体に合わない無理な食べ方を強要して、胃に負担をかけてしまっていたのです。
げっそりとして体重計に乗ってみました。「あ〜ァ〜」2ヶ月前より明らかに数キロも、貴重な体重が減ってしまっているではありませんか。皮肉な結末でした。
それからしばらく、我が甘党人生に‘ケーキなんて見るのもイヤだ’という空白の期間があったのは言うまでもありません・・・反省。
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