身の危険を感じ、もうなるようになれと開き直って目を閉じてしまっていた時です。先代の耳元に「ナイカクホウでやりなさい」と繰り返し聞こえてきたのです。しかし、それが何を意味しているのか、いったい何を伝えようとしているのか、ちっとも解かりません。
“もう、ダメだ…”
目の前の男がジリジリとにじり寄り、いよいよ切羽詰まった瞬間です。いきなり火が噴き出したような熱く鋭い感覚が、先代の体の中をビリビリッと走り抜けたのです。
同時にある確信が沸き起こりました。ペンを掴んだ手が動き、幾つかの数字を書き並べていきます。
「お父様は53歳の時に胃癌で亡くなりました。そしてあなたは、48歳で病気を・・・」
途端に、目の前の男は両手を畳につけて頭を垂れたかと思うと、ガタガタ震え始めました。先代が出した答えは、ずばり的中していたのです。
その夜、母の霊前に手を合わせて礼を言い、「ナイカクホウという鑑定術を生涯賭けて育てるから教えて欲しい」、そう願いました。この日以来、先代の研究は、実績を重ねながら揺るぎのない確信へと形づくられていくこととなります。
「ナイカクホウでやりなさい」・・・・・この亡き母の啓示を受けて内画法(ないかくほう)という名称が付けられ、それまでどこにも存在しなかった緻密でロジカルな姓名判断が発明されたのです。
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