最初の異変を感じたのは複数の女性相談者からでした。自粛が叫ばれてしばらく経った頃のこと。
ある方は夫へのうっ憤、ある方はご近所とのぎくしゃく、また別の方は小姑への怒り…。書き並べてみればどこにでもあるストレスの種ながら、その表出の仕方が少しばかり尋常でなく、まるで溜まりにたまった感情のマグマがプツンと決壊、激流のように止めどなく溢れ出てしまったかのよう。その一方、男性相談者には突然の入院や持病の悪化など身体への変調が目立ってきていました。
さらに長引く我慢の日々は続き、若い世代と女性の自殺率の高さ、認知症の進行といったもろもろのニュースも伝わり、老若男女問わず、私たちはこれまでに経験のない大きなストレスにさらされ疲弊しているのだと、否応なしに体感させられることとなります。
毎日の暮らしとは、笑い 泣き 怒り 喜び あらゆる感情の波があちらこちらで揺さぶられ変転しながら、自分なりの均衡をなんとか上手く保っているのでしょうが、そこに有無を言わせぬ形でガチっと歯止めをかけられてしまい、あまりの息苦しさにもがき苦しむ方々が噴出したのでしょう。
慌てても焦ってももうどうしようもない、そう感じていたなら、ここはじっくり自分の内側に耳を傾けてあげてみたらどうでしょう。何をしたい?何が足りない?何を食べたい?何を言いたい?その声をもしキャッチできたなら、それに応えるべく自分自身を丁寧にメンテナンスする、一歩踏み出す前の準備体操のように。すこぶる地味ながらも、そして小さいながらも、その微動が次なる展開に繋がっていくと思うのです。
ところで冒頭の女性たち、その後別件でコンタクトがあった時には、いずれもコロリと気分を変えており、全く違う方向に視点を向けて進んでいました。人という存在のたくしさもまた、改めて実感しています。 アッパレ!
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